くれよん代表の稲田と協力会社『勇匠』の新垣社長、そして同じく
協力会社『広西電設』の西座社長の3人が、電気工事業界に対する
想いをぶつけ合いました。働く人が減っている理由。
電気工事のおもしろさ。変わらなければいけないポイント。
業界の課題解決を目指す3人の対談をご覧ください。
勇匠 代表取締役
新垣 勇
電気工事業界歴8年
くれよん 代表取締役
稲田 弘樹
電気工事業界歴8年
広西電設 代表取締役
西座 広明
電気工事業界歴5年
TALK 01.
稲田
課題はたくさんありますが、中でも大きいのは人手不足だと思います。電気工事業界で働きたいという人はどんどん減っています。理由の1つとして考えられるのは労働環境の悪さ。いきなり休日出勤になることはザラにあるし、未経験者に研修できる環境も整っていない。そういった労働環境がしっかり整っているのは業界トップクラスの大手企業だけです。他にもたくさんの要素が重なって、若い人にとっての「面白い仕事」からかけ離れているんだと思います。
新垣
人が足りないと、過酷な労働環境を敷かざるを得なくなる。その結果として生まれたのがきつい、汚い、危険の「3K」というイメージです。そうなるとますます若い人が入ってこなくなり、職人の高齢化は進む一方。入ってきたとしても「思ってたのと違う」というギャップを感じてすぐに辞めてしまう。悪循環ですね。
西座
その「ギャップ」が1つのカギだと思っています。電気工事と聞くとエアコンの取り付けなど目に見える範囲の仕事を想像する人が多いですが、実際は違う。建物の中に配線を通したり、ほとんどの作業が目に見えない場所で行われています。つまり、仕事内容がしっかりと伝わっていないんです。それは面白さ、やりがいも伝わっていないことも意味します。だからこそ入社後に「思ってたのと違う」というギャップが発生してしまう。そうではなく、実態を知った上で「この業界で働きたい!」という人が集まる業界にしなければいけません。
TALK 02.
新垣
電気工事には業界外の人に伝わっていない面白さがたくさんあります。例えば、ルーティンワークではないところ。現場が同じでもやることは毎日変わるので、肉体労働だけでなく頭を使うシーンがたくさんあります。どんな計画を立てれば工事がスムーズに進むのか。どう配線を通したら内装が美しくなるのか。思考と作業を繰り返す仕事は創造的な一面もあるんです。「毎日同じことの繰り返し」と思われがち。でも、違います。8年以上業界にいる僕ですら毎日学びの連続ですから。その面白さを伝えていくしかないと思います。
稲田
新垣さんの言う通り。どれだけのベテランでも「難しいなあ」と言いながら、いい顔で、いい汗を流している。その仕事内容、面白さ、やりがいを正しく広く伝えていかないといけない。このホームページをつくったのも、TwitterやInstagramといったSNSでの発信を始めたのも、電気工事業界を知ってもらうためです。知ってもらわないとはじまりませんから。
西座
うちもSNSやホームページでの発信活動をはじめました。慣れないので難しさを感じていますが、地道に続けて、熱い想いを持った若い人が入ってきてくれるように頑張ります。業界で自社のことを積極的に発信している会社はほとんどいません。だから僕たちの取り組みに対して批判的な感情を抱く人もいると思う。でも、そうやって新しい取り組みを反射的に批判するところも業界の弱点。信念を貫いて、少しずつ空気を変えていければと思っています。
TALK 03.
新垣
教育方法ですかね。僕たちが若い頃は背中を見て学べ!が当たり前だったけど、それでは若い人は離れていく。仕事の面白さを体感してもらうことがなにより大切。そのために勇匠では若い人にもすぐに現場に出てもらうようにしています。当然最初はうまくいきません。失敗をたくさんします。それでも決して感情的に怒ることはなく、できるまで見守る。必要であればアドバイスもする。急ぎの場合や危険な現場では手伝うこともありますが、原則、自分の力でやらせてみる。そうして一つの作業をやり切った時に初めて電気工事の面白さが分かる。ミスしたからといって感情的に怒っては絶対にダメなんです。
稲田
強い言葉を発しなくても会社の考えや仕事への向き合い方を伝えたい。そういう想いがあったからこそ僕たちは理念の構築とビジョンマップ制作を決断しました。くれよんはどんな価値を提供する会社なのか。そのために1日1日どんな言動をすべきなのか。どんな技術を身に付けなければいけないのか。皆で話し合って、細かく定義していったんです。
西座
怒るのが当たり前の時代を経験しているからこそ「怒らずに育てる」というのはなかなか難しい。でも、そんなことを言っていては始まらない。変わらないといけないのは僕たち。どんな教育方法がベストなのか。答えはまだ見つかっていませんが、毎日毎日考えながら過ごしているところです。考えて、試してみて、反応を見て。その繰り返しの中でベストを見つけていきたいと思います。
TALK 04.
新垣
「大手を超える!」なんて言いません。現実的ではありませんから。少なくとも向こう十数年は不可能です。じゃあどうするのか。それは、自分たちができる範囲で最大限のやりがいを生み出していくこと。俺たちはこういうスタンスでやるんだ!という意思を工事を通して表明していく。そうすれば共感してくれた人が集まって、数年後、数十年後には規模が大きくなっていて、もしかすると大手やサブコンと勝負できる時がくるかもしれない。
西座
その中でも元請けになれるチャンスを伺っていくことは大切だと思ってます。先日もこの3人で話していました。発注元の役所に実績を発信していけば元請け工事を担当できるようになるかもしれないな、と。高い壁だけど、挑んでいきたいとは考えています。
稲田
元請けになるには積算ができる人間、現場を管理できる人間が必要。話は戻りますが、だからこそ人の採用を強化していかないといけないんです。元請けを担当するとなれば3年、5年、長いと10年携わる工事もある。その中でもし辞職が続いて「人が足りません」となったら大変なことになる。大きい工事を請け負うためには採用の強化が不可欠なんです。
新垣
そうやって新しい挑戦を地道に続けていけば電気工事の地位向上につながるはず。電気工事は建設業界の中でも地位が低い仕事。雑に扱われるのは日常茶飯事。「こんな期間でできるワケないやろ」という理不尽な工期を一方的に組まれることもあります。電気がないと建物は作れない。生活ができない。重要な仕事なのに雑に扱われている状況が続いています。
稲田
鉄筋屋さんにビール券を持っていかないと工事現場に入らせてもらえない、なんてエピソードもあります。昔の話ですけどね。それくらい立場が下に見られてきた歴史がある。
西座
電気工事士は建設現場で唯一、国家資格がある職業。僕たちはそれに対して誇りを持っている。だからこそ雑な扱いを受けるのは悔しい。少しずつでもいいから変えていきたい。
新垣
頭を使う仕事。資格がいる仕事。生活に欠かせない仕事。なめられていいワケがない。繰り返しにはなりますが、そんな状況を変えるために若い人の採用が必要。仕事内容、やりがい、面白さを理解した熱い想いを持った人が入ってくる努力をしないといけない。人が変わったら組織は変わる。組織が変われば業界も変わっていくはずですから。
稲田
そのためにまずは経営者である自分たちが変わっていくことが大事だと思います。周りに何と言われようと、正しいと思ったことを信じて新しいチャレンジを続け、変化していきたいです。そして、この3人にとどまらず、共感してくださる同業他社の方々とも力を合わせていきたいと思っています。